ピンポン


とある早朝のご依頼でした。

集荷先に伺うと、年配の貫録のある男性でした。
届先は個人のお客様で、小さな封筒を1通お預かりしました。

お届先に到着するとオートロック付のマンションでした。

お部屋の前まで行くことは出来ないので
入口のインターフォンでお呼び出ししました。

反応が無い為、伝票に書いてあるお客様の電話番号へ御電話しましたが
数コールで留守電になってしまいました。

依頼のお客様に、その旨お伝えすると
「居るのでもうしばらくインターフォンを押して欲しい」
とご要望を頂きました。

「ピンポーン!」
…応答なし。

「ピンポーン!」
…応答なし。

「ピンポーーーン!!」
…応答なし。

これ大丈夫なのかな、、と不安になりつつ
最後だと思い

「ピンポン、ピンポン、ピンポーーン!」

と連続で押すと
インターフォン越しに

「ふぁーい」
と、とても眠そうな返事がありました。

その方は、ご依頼の方のお名前をお伝えして
お荷物をお渡しすると、ハッとしてすぐに封を開けました。

中には、「起きろ」とだけ書いた手紙が入っていました。

どうやら大事なアポがあり、遅刻癖がある部下を起こすためだけに
この手紙を届けるバイク便をご利用されたようです。

終了の報告の為にご依頼主に御電話した所

「私が今○○に電話するので、ちょっと待って下さい。」
と、一旦電話が切れました。

1分後。

ご依頼主から着信があり、
「無事起きていました。ありがとうございます。」
との事で、自分自身も朝からとても目が覚めるお仕事をさせて頂きました。

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