バイク便、30年目


自分はバイク便ライダーとなってほぼ30年となった。
ここ30年でバイク便を取り巻く環境も大きく変化したが、
自分の経験してきたことで印象的なこととして、
ここでは通信手段について挙げてみる。

自分が仕事を始めた頃は、
仕事の手配は「読み込み」と言われる方式だった。
ポケベルを貸与され、手配が決まるとポケベルで呼び出される。
すぐに各所の公衆電話を使用して配車に連絡し、
手配内容を電話で聞く(自分はメモを取る)という形態だ。

このため、当時は公衆電話の位置を覚えておくことが
早く仕事を得て収入を上げるポイントのひとつ。
使用頻度の高い駅周辺の公衆電話などは、
行列ができている状態で、一般の方々と電話の取り合いに
なったこともしばしばあった。

この当時は本社の人数も少なく、忙しい時には社長も電話を取り
配送の手配内容を伝えてもらえるのだが、
とても早口で一通り住所を言った後はすぐに電話を切られてしまう。

通常のオペレーターが出た時は、
聞き取れなかった事はもう一度内容を聞くのだが、
もう一度掛け直す事になる時もあった。

その時、掛け直してまた社長が出られた際には、
こちらから無言で切らせていただいてしまった。
今だから言える話である。

やがて無線機が貸与されるようになり、
配車への連絡手段は公衆電話のみの時より多少楽にはなった。
しかし、チャンネル数が限られているため、
営業所単位で同一のチャンネルを使用しており、
他ライダーの手配内容や配車との会話が筒抜け。

売上のいい長距離手配が決まると
「○○さん、電話ください」
と配車から言われるため、
「○○さん、おみやげよろしく♪」
と他ライダーから一斉に声をかけられる、といったこともあった。

また、急なパンクやバルブ切れの際には上野界隈に近い
ライダーに部品の購入を頼むといった、
今でいうグループチャットに近い状況もあり、
これはなかなか楽しかった。
しかし、無線機は大きく、バッテリーも重く、肩こりが絶えなかった。
呼出はまだポケベルも併用されていた。

やがてこれが携帯電話に代わる。
このころからメールによる手配が始まり、
手配システムも色々変わっていった。

正直デジタル機器音痴の自分はこの流れになかなかなじめず、
これを理由に仕事をやめようかとまで考えたこともあった。

当時先端だったPDAを用いWebを使った形になったこともあり、
Web見放題、という売り文句で
ライダー達も待機の時間潰しになると喜んだが、
まだ通信速度が大変遅かったこともあり、実際にはほとんど
接続できずに終わってしまったりしたものである。
結果的にまたメール手配の形式に戻り、
こちらからの応答もメールで行う形が主になっていった。

最近は携帯電話がスマートフォンに代わり、
仕事に使用する専用のスマートフォンが貸与され、
使わせていただいている。
通信費も会社に持っていただけることになった。
Webへの接続速度も格段に上がり、
現在の天気や交通情報など、待機時間に情報収集も楽になった。
しかし、自分はここでも生来のデジタル音痴がやや発症して、
流石に仕事をやめようとは思わないものの、
最近の主力たる若者世代の使いこなしを羨望の眼差しで見つつ、
拙い指先でなんとか使わせていただいている。

スマートフォン普及に伴う劇的な変化として、
新人さんが都内の地理が全くわからなくても、
スマートフォンのナビで最初からある程度の配送が
可能になっていることが挙げられる。
携帯電話主流の時代には、考えられなかったことである。

さて、駆け足でここまで、バイク便の通信手段について、
ほぼ30年を振り返ってみた。

自分としては、なんとかここまで、これらの通信手段を使って仕事をしてきた。
手配手段としては、ソクハイは常に最先端のシステムにチャレンジしていると思う。

今後10年、15年、バイク便の仕事はどうなっているだろう。
通信手段はどう変わるだろう。

30年前には、今このような環境で仕事をしている自分を、
全く想像することすらできなかった。

15年後の自分。
ひょっとして、バリバリのサイバーライダー爺だったりして!?

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